前回のあらすじ

お話にスリルとサスペンス、ドキドキワクワクを求める人は多い。

吾輩とて、良くできたお話を読む時は、自然と主人公に感情移入することがあるし、先が気になってページをめくることもまあある。

だが、自分の創製する話では、先ず自分が最初の読者である。創製の楽しみを享受するには、先ず自分が楽しめるようでないとならん。楽しくないけど義務で仕方なくやるというのは望んでいない。

だから吾輩が自分の話を組み立てていてドキドキワクワクするのが望ましいというか、普通みんなそうではないか、と思うのだが、一体ではどんな話を面白がるのだろうか。言いたいこと、メッセージを持っており、それを作品によって表明する。吾輩はそういうスタイルを取ったこともある。それは、メッセージを作品に込めて、読者に伝わり、理解してもらえるのが喜びである。

純粋に娯楽として考えると、ステレオタイプの話作りでも基本的に問題はない。そもそも話のタイプは古来よりさんざん出尽くしているのだから、オリジナリティはほんの少しでいいのだ。ステレオタイプだからこそ面白い、ということも多かろう。

吾輩は、どうせ創製するなら、オリジナリティをもう少し多く盛りたいと考えるものである。そこに自分の好みの問題がある。自分で話を考えていてハラハラしたりするのは、なんというか疲れるものであり、ゆったり癒やされるような話を作るほうが好みに合っている。だからむやみにアクションだミステリーだ、という要素を入れたくない。戦う、争う、そういうのに血がたぎる読者もいるだろう。吾輩も戦いや争いを見て、単純に避けることはなく、面白く読めることもあるが、どちらかというと、一人で地道に能力を上げていくほうが肌に合っている。

これは多分生まれ持った特性であろう。「特性のない男」よりはまあマシだといえるが……。