ブルマー

 さっそくネタ切れのようだ。書店にもそれほど頻繁に行くわけではない。したがって女子高生を目にすることもきわめて少ない。

 私の出身高校は、伝統のある、一応の進学校である。そこでの私の三年間が、灰色であったか、桃色であったか、それは別にして、制服という点でいうときわめて恵まれていた。

 普段の制服は大したことはない。むしろ古くさくてダサいデザインであり、好きでない。一応はセーラー服である。ベースの色は、冬なら濃紺、夏なら白である。胸元にえんじ色のタイをつけるのは夏も冬も同じだ。セーラー襟にはラインが一切入っていない。ちょっと珍しいといえるが、ファッション的に美しいとは思わない。スカートは夏も冬も同じく濃紺のプリーツスカートである。

 私はなぜ上の方で「きわめて恵まれていた」と書いたのか? それは普段の制服についてではない。

 体操服がブルマーであった。

 もしも私があと4年遅く生まれていたら、ブルマーを間近に目にすることは一生なかったであろう。私が3年生になった時の1年生から、ブルマーは廃止され、短パンになった。これは現在でも変わらない。

 特に8、9月は持久走の季節であり、私たちは週に4時間の体育の授業があった。校舎の周囲1キロメートルを5周する。その体育は女子と合同で行われた(スタート地点は別だが)。よって、走っていくうちに女子の集団に出くわした。

 お尻、お尻、お尻の大集団である。私は息を呑んで彼女たちの尻に見入るのだった。ブルマーというのは、ご承知のように、尻肉を完全に覆ってしまうものではない。多少ははみ出してしまうものだ。その肉が、脚の動きに合わせて上下に揺れる。

 まあ、勃起してしまうほど熱中していたわけではない。第一、自分たち男子も走っているわけであるし、持久走はけっこうしんどいものだ。ハアハア息を切らせながら走っていた。

 一度だけ、体調不良を理由に走るのを休んだことがあった。この時は男子のタイム測定を命ぜられた。私はコースわきに突っ立って男子および女子が走り過ぎるのを眺めるだけだった。この時はさすがに勃起を隠せなかった。

 本来なら、私の見た光景を余すところなく表現し、ブルマー好きの諸兄を喜ばせたいところだが、文才がないのが残念である。とにかく私は、本来なら健全であるべき高校生活において、初めてブルマーというエロい衣装を知ったのであった。もしかすると、私がオタク道を進むことになったのも、このブルマーが原因かもしれない。全く因果な服装である。私はブルマーをたたえる漫画を描いて級友たちに見せた。彼らは失笑していたようだが、やはり男であるし、ブルマーを素晴らしいと思っていたのは間違いないだろう。

 さすがに今となっては、スク水などの萌えアイテムを他に知っているので、ブルマーのみに熱中することはないが、たまに私の出身高校の近くを通りかかると、ブルマーに熱中していた高校時代をなつかしく思い出す。

 というわけで、私は紺色の高校生活を堪能したのであった。